岐阜県関市に店を構える、
老舗うなぎ屋「辻屋(つじや)」。
160年にも及ぶ当店の長い歴史は、
初代当主の川釣り好きから始まりました。
屋号の由来は、辻(十字路)に店を
構えていたからという説もありますが、
定かではございません。
しかしながら、5代目となった現在も、
創業当時と変わらぬ場所と建物で
堂々たる姿を保っております。
そして、多くの方に愛される
うなぎ料理も昔のまま。
これから先も辻屋流の地焼きで
伝統の味をお届けして参ります。
うなぎ屋の顔とも言えるタレ。
少しとろみがありながらも甘さ控えめであっさりとした
当店のタレは、創業以来継ぎ足し続けてきた門外不出のものです。
戦時中、金属のレードルが手に入らなかったことから、タレをすくうのに
ホタテ貝を代用し、現在でもその手法を受け継いでおります。
使用するのは、特大4Pサイズの活うなぎ。
産地にこだわらず、先代から懇意にさせていただいている2社から厳選して仕入れております。生け簀から取り出したばかりの新鮮なうなぎは素早く捌いた後、一切れずつカットしてから串打ち。一度も蒸さずに炭火でじっくりと焼き上げ、表面はパリッと、中はトロっと仕上げます。
粒立ちの良い白ご飯も、うな丼には欠かせません。産地や銘柄を問わず、お米屋さんからその時々で質の良いお米を取り寄せております。タレとのバランスを考え、水分量を調整しながら炊き上げることで、べたつかない美味しいご飯に。お腹いっぱいになってもらえるよう、丼にはたっぷりと350g~400g盛っております。
1860年頃辻屋創業
初代;加藤 竹蔵
辻屋の創業は幕末の慶応年間(1860年頃)と言われております。
初代の当主は元々川釣りが好きで、釣った魚をいかに美味しく
食べるかに凝っていたようです。
その趣味が高じて、川魚特有の魅力を人様にも味わってもらいたいという思いから“お食事処”を始めたのが、辻屋創業の謂れで
ございます。
- 1891年頃
- 大衆食堂として
二代目;加藤 治太郎
地域の方々がら愛される大衆食堂として営業していた辻屋。二代目店主の治太郎は、180㎝を超える長身だったと言われております。
- 1934年頃
三代目;加藤 一雄
この頃になるとうなぎの仕入れが安定。夏だけではなく、季節問わずお店の人気メニューとなっていきました。それに伴い、大衆食堂からうなぎ屋へと変化していきます。
- 1945年頃
- 戦争を
乗り越えた辻屋
戦時中、店舗前の道を戦車道路にするために、国から建て壊しの命令を受けておりました。いざ建て壊しに取り掛かろうとしていた翌日に終戦を迎え、店舗解体を免れたと言われています。
四代目;加藤 長一
- 今後100年続く
お店への一歩を
五代目;加藤 友巳
創業時から増築を重ねてきた辻屋。歴史とともに建物も古くなり、今後お店を長く続けていくためにも改装が必要だと判断し、店舗を全改装する運びとなりました。
- 2022年建物改装
- 2023年~現在
- 辻屋が産声を上げてから、およそ160年。
長い年月が経ちましたが、今日までこの店で商いを続けさせていただいていることを想いますと、何か不思議で有り難いご縁を感じない訳には参りません。
お客様に「美味しかった」「うなぎを食べるなら辻屋」と仰ってもらうためにも、これからも一層精進いたします。今後とも辻屋をご愛顧賜りますようお願い申し上げます。